異邦人コレクターが語る“SHUNGA”の世界
所蔵数1万点以上 世界一の春画収集家が語る 江戸の粋とはなにか?
「春画」は世界が認めたほんとうの芸術作品
世に浮世絵春画の三大傑作といわれるのが細長い柱絵版にクローズアップを描いた鳥居清長『袖の巻』(天明5年/1785頃)、巨根の代名詞〝UTAMARO〟の元になった喜多川歌麿『歌満まくら』(天明8年/1788頃)、背景を豪華な雲母摺にした葛飾北斎『浪千鳥』(幕末)。
このほか、鈴木春信『風流艶色真似ゑもん』(明和7年/1770)とか、菱川師宣の『若衆遊伽羅之縁』(延宝3年/1675)、歌川広重『春情八重桜』(出版年不明)、渓斎英泉が淫斎白水の名で描いた『 美多礼嘉見』(文化12 年/1816)など、有名な浮世絵師はもちろん、それほど知られていない絵師もさまざまな春画を残している。そして、無名の絵師も素晴らしい作品を描いているのだ。
「そういう春画のことも知ってほしいですね。私は、目で見て選ぶ。気に入ったものを買って、そこから絵師への興味が湧いてくる。大坂の月岡雪鼎などもそうやって60冊くらい集めていましたから︑春画研究者に驚かれました﹂
現在、浮世絵春画は1200作品を超える点数が見つかっているという。それぞれが10枚から12枚の図を組物にしているから、おそらく1万5000点以上の春画があるだろうと。
江戸時代、裕福な商人は絵師たちのスポンサーとして、肉筆春画を描かせ
た。錦絵が発達すると贅沢な色摺の「笑絵」も多くなる。まさに芸術品だ。
セックスを明るく描いた春画は、男女どちらにも喜ばれた。警察官や検事、
裁判官の嫌うような、猥褻な禁断の絵画ではない。
「春画は、人生を幸せにしてくれる美しい芸術品なのです」
現代、春画本の購入者は若い女性のほうが多いのだという。
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痛快!日本美術
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